コクロアナバチ
木の穴や、竹筒などの既存坑に巣を作る。
枯草で巣穴の栓をし、ササキリ、ツユムシ等キリギリス科の昆虫を、幼虫の餌にする。
初夏から秋にかけて普通に見られる。

ノブドウを訪花する雌。
この他、ヤブガラシなどに多く訪れる。
2005年6月中旬、佐賀市 富士町。
観察用のトラップに、巣材を搬入する。
稲科植物の枯葉が多い。
1980年8月、兵庫県 加古郡 播磨町。
わざと巣の近くに吊るした、枯葉の束を目ざとく見つけ訪れた。
はさむ様につかまり、大あごで切断する。
トラップの中。
木の板を隙間を空けて並べ、その上からガラス板を貼り付けたもの。
入り口近くに枯葉を細かく噛み砕き、塊にして置いている。
巣の一時閉鎖だ。
巣材を噛み砕いている。
幼虫の餌を狩り、搬入する。
ササキリの一種の幼虫。
巣の一番奥に、最初の獲物を運び込む。
最初の一匹に必ず産卵する。
前肢と中肢の根元の間に、横向きに産み付けられている。
獲物を搬入し、産卵した後、枯れ草の塊を押し固めて閉鎖し、次の狩りに出かける。 帰巣すると、獲物を栓の手前に置き、栓をほどく。
栓の位置は、獲物を持って帰巣する度に奥へと移動していく。
草の栓をほどき、逆さに向きを変え、後ずさりで獲物を引き込む。 栓を塞ぎつつ、奥へ押していく。
1育房の餌の搬入が完了すると、入り口の栓を利用して、隔壁を作る。 足りない分は新たに枯れ草を持ち帰り、噛みほぐしながら、隔壁を完成させていく。
その後、再び一時閉鎖用の栓を新たに用意する。
餌を食べ成長していく幼虫。 繭を作る。
糞をするスペースも、器用につむぐ。
ウマオイの一種の幼虫を狩り、葛の茂みの下で麻酔を行う。
2007年7月下旬、佐賀市大和町。
巣に運ぶ前に、獲物のニシキリギリスの幼虫の触覚を切る。
触覚の根元を、大顎でしっかりくわえ、そのまま左右に何度も曲げる。
2012年6月上旬、佐賀市富士町。
重そうにくわえて飛び立とうとする。 草の葉にぶらさがり、狩ったササキリを麻酔する。
肢の付け根の部分を数回刺すようだ。
2008年6月上旬、佐賀市大和町。
狩ったササキリの喉元を噛みほぐす。
触角はもう切り取ってある。
2008年6月上旬佐賀市大和町。
営巣場所を探す。
地面に落ちた竹筒まで営巣場所になるようだ。
この蜂の営巣環境はあまりこだわりがなく、石や木の隙間、屋根瓦と土の隙間、鉄パイプの中、果てはネギの葉の中に営巣したという記録もあるそうだ。
2009年9月中旬。
竹筒のトラップに営巣する。
キリギリス(ニシキリギリズ)の幼虫を狩り、搬入する。
2012年6月上旬、佐賀市富士町。
竹筒の中を少し進んだ所に獲物を置き、一時閉鎖した枯れ草の栓を開け中に進む。
搬入後再び狩りに出かける。 育房の隔壁用の材料を採取する。
主にイネ科の植物の枯れた葉や茎を切り取る。
長いまま巣に搬入する。
中で細かく噛み砕く。
巣の内部。
入口近くは特に厳重に閉鎖され、さらに長いままの枯れ草が詰められている。
育房内部の様子。
6育房が認められるが、隔壁があいまいに見える。
巣によっては十分な隔壁が施されはっきり育房数が確認できる。
この巣ではほとんどの育房で2卵の産卵が確認された。
この種はアルマンアナバチほどではないが、1育房に複数の産卵が見られるという。
獲物の胸部で成長を始めた小さな幼虫。
胸部に産み付けられた卵。 別の巣。
1つの巣内でほとんど隔壁は見られない。
この巣では4頭の幼虫が見られた。
それぞれの幼虫の間にわずかな巣材が見られたが、隔壁の体をなしていない。
アルマンアナバチは1つの巣における産卵を、同じ数の獲物の搬入時に先に済ませるが、この蜂は産卵後は1頭分の餌を確保しその後産卵を続ける様だ。
完成後の巣の様子。